
突然煮豆が食べたくなって棚の奥で眠っていたキドニービーンズを引っ張り出す。
一晩水につけて圧力鍋でぐつぐつ煮たのに、亡き祖母が作ってくれたような
ふっくらおいしい煮豆には程遠いできだ。やっぱり北海道の豆じゃないとダメか。
子供の頃は食卓に煮豆が登場すると「出た、年寄りの食べ物!」と思っていたが
いつしか恋しい味になっていた。私も年寄りの仲間入り。
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今日はプライベートクリニックで検診だった。出産はNHSでするのだが、婦人科系機能に
いろいろと問題があってもともと通っていた流れでプライベートも併用している。
悪評高きNHSだが、幸い私がお世話になるところは日本の総合病院並みに
近代的で清潔感もある。スタッフも各スペシャリストもとてもプロフェッショナルで
今のところは私はとても満足している。我が家はGPにも恵まれているので、
NHSがあまりにもぼろくそに言いたい放題に言われていると何だか申し訳ない気持ちになる。
地球の裏側からやってきた肌の色も母国語も違う妊婦が一人でふらりと出向いて
「良かったですね。おめでとうございます。」と迎えてくれる病院が日本にいくつあるだろう。
しかも無料でスキャンや出産まで取り合えず面倒をみてくれると。
そりゃあこの憎き英国、いいかげんにせいっ!と思うことも山ほどある。
でも私は日本で拉致拘束され英国行きの飛行機に押し込まれ、
着いたら着いたで今度は英国が国から出してくれないというわけではない。
英国にここに住んでくれと頼まれたわけでもない。
理由は何であれこの国に留まっているのは私の意志である。
だから外国人の私を住まわせてくれて、それなりの権利を与えてくれる
憎き英国にたまには感謝もしないといけないなと思う。
なんてことをぼんやりと煮豆をつまみながら考えていた。
16週になった赤子は今のところ順調に育っているらしい。
エコーの写真は相変わらずエイリアンのようである。
すまん、赤子よ。骨格しか見えない白黒のぼやぼや写真をみて
「きゃぁ〜、かわいい〜〜」とか思えるほど母はテンション高くないんだよ。
元気に育っているようで何よりだ。今日は煮豆の栄養でも吸い取っておくれ。