10月12日早朝、暗闇の中不機嫌に起き上がり黙々とお弁当用のご飯を詰め
眠い目をこすりながら「いってらっさーい」とぽめ夫を見送る。
「今日、8時半にオックスフォードサーカスの駅で待ってるから。
お寿司食べに行くよ。」と言い残しバターンとドアが閉まった。
はぁ・・・?デート??8時半遅いな・・・何でわざわざ中心部へ・・・?
あーーーーーーーっ!ケツコンキネンビ!?
カードすら買っていない妻、朝っぱらから大慌て。
まさか本気でど忘れする日が来るとは・・・。
久しぶりに中心部に出かけ、ロンドンの都会っぷりに驚く。
ちょうど金曜の夜ということもあり、どこも人で溢れ賑やかだった。
腹ペコの二人、人ごみをかき分けるように早足で日本食レストランへ(笑)。
いつも通り生ビール(もちろん私)とぽめ夫のお茶で乾杯し、
さぁ、さぁ、Happy Anniversaryということでお互いに恒例のカード交換。
そしてぽめ夫はニヤリと笑い「今年は(来週の私の)誕生日も兼ねてこれね」
と小さな包みを差し出した。カードしか用意していなかった私は罪悪感でいっぱい。
開けてみるとなんとTanzanite(タンザナイト)のネックレスが!
タンザナイトとはその名の通り、世界でもタンザニアでしか採掘されない
ある意味ダイヤモンドよりも希少な石である。
「た、たたたたんざないと!?」と目玉が飛び出そうな私を見て
お茶をすすりながらニコニコと笑うだけのぽめ夫。

出張の際に石だけ持ち帰り、ネックレスに仕上げたとのこと。
長さが気に入らなかったら直してもらうからと言うので
鼻血出そうになりながらさっそくつけてみるとちょうど良いではないか。
宝石とかをプレゼントするタイプの人ではないのでびっくり。
どうしたのかと思ったら今年は5度目の結婚記念日ということで
一応節目であるということと、5年分の感謝でもあるともったいのうお言葉。
結婚してから彼は何度か転職を繰り返している。数年前、彼の職探しが
思うようにいかず私の安月給でひーひー言いながら暮らした数ヶ月間があった。
当時購入したばかりだった現在の住まいを手放さなければならない
という切羽詰った状態までいきつき、まさに人生崖っぷち。
もうダメかと泣き言を言いそうになった頃やっと彼の仕事が見つかった。
あの時を乗り越えられたからこそ今の新しい仕事にもたどりつき、
今のこの2人の生活がある。こんな石を買うどころか、外食をする余裕さえ
なかった日々も我慢してこの5年間一緒に暮らしてきた私への
感謝のプレゼントだと言うではないか。
そんな話を聞きながら私が見ていたのはぽめ夫の顔でなく、
目の前に置かれた豪華なお刺身の盛り合わせだったが
鼻水が垂れるくらいうれしかった。だからあの頃
こんな生活が続くのならばもう日本に帰ろうかなと
本気で考えていたのは内緒にしておく(笑)。
そもそも単純な私は今の生活に満足していてそんな日々のことは
忘れておったわい。喉元過ぎれば・・・である。

光の入り方によって蒼く見えたり、紫に見えたりするタンザナイト。綺麗だなぁ。
この先もしもまたフリーフォールのような勢いでどこまで落ちるか
わからないスリリングな生活を強いられる日がきて、発狂したくなったら
これを見て思い直すことにしよう。

いつもありがとう。これからもどうぞよろしく。